はじめに

相模湾沿岸は砂浜地帯から岩礁地帯まで多種多様の表情を見せており、1000種類を超える魚類をはじめとして、豊富な海洋生物が多数生息している。また相模湾沖合には相模トラフの北端が位置し、水深は1000mを超え、富山湾・駿河湾と並ぶ日本三大深湾の一つに数えられている。

このように学術的にも貴重な相模湾は、東は三浦半島から西の真鶴半島に囲まれた湾で構成され、その沿岸域は、昔から広く沿岸漁業を中心とした漁師町が発達した日本有数の漁業地帯となっている。

小田原市は神奈川県の西部に位置し、湘南から伊豆半島の東側に至る相模湾(灘)の西の要という立地に恵まれており、その為、必然的に漁業が発達した長い歴史を持っている。

(株)小田原魚市場は、創立当初より地魚を中心とした広範囲からの集荷を行い、豊富な品揃えによって多くの買受人を集めた。戦後、定置網漁業の発達は、漁獲の増加と比例して魚市場の集客力と活気を増し、同時に県西部の台所として魚市場の信頼を高めていった。結果的に買受人のみならず漁師にとっても、魅力ある魚市場として長く親しまれ、今日まで至っているのである。

我々は、将来的に魚市場は卸売りという営業の枠を越え、地元の漁協、漁業者と共に中立的立場から漁業の安定と豊富な水産資源の枯渇防止を指導・牽引していく役割を担うべきであると考えており、消費者と漁業者の中心に位置するパイプ役として、今後存在意義は、ますます大きなものになると確信しているのである。

平成23年12月 (株)小田原魚市場